背景などずいぶん丁寧だし、動きもいいのだが、シナリオが昔のシリーズに比べてイマイチ良くない。キャラクターが生きていないのだ。
30分一話完結にしてしまったために話の底も浅くなってしまったし、全体的にオリジナルがもっていた士郎正宗独得の暗さがきれいさっぱりぬけおちてかなり違ったムードの作品となっている。しかし何といっても一番の問題点はレオナやその他のキャラが余り似ていないという点だ。・・・
博士が発明した新機軸の気球に乗ってフランス各地を旅するという、ただそれだけの映画なのであるが、映像の余りの素晴らしさのために僕にとっては永久に記憶される映画となってしまった。一見自然に見える映像も、それを撮るために費やした血のにじむような努力のあとが、よくよく見るとかいま見える。
たとえば鹿狩りのシーンなど、超低空飛行で鹿と並走しながら撮影しているのであるが、ヘリコプターの爆音を考えると、あの鹿はそれを怖がらない程度にまで訓練されていたと思わざるを得ない。
その他、助手が気球から垂れ下がったロープにしがみついて空中に飛び上がったり、水面を滑ったりするシーンにしても、何度もリハーサルをしているはずである。しかしながらこの映画の本当に凄いところは、見終るまでそんな努力があったことなど想像すらできないことである。素晴らしい映像のつるべ撃ちで観客は酔いしれてしまい、FINのマークが出るまで我に帰ることなどできないからだ。ああ!どこからでもいいから早くこの映画のLDが出て欲しい!!・・・
ノルマンディとは対照的に暗いイメージのあるダンケルクだが、やはりフランス映画、ジャン・ポール・ベルモンドを起用してカラッと明るいイメージの映画に仕上げている。
とはいってもお話は悲劇に終り、明るい要素はまるっきりといっていいほどないのだが。たとえば爆撃で死んだ娘の死体を運ぶシーンにしても、妙な明るさとユーモアがあり、決して湿っぽくはならない。飛行機マニアとしては何度も出てくる空襲シーンが気になるが、この映画では珍しくBf108を使用しており、巧みなアングルでMe109らしく見せることに成功している。
結局主人公マイヤを死なせることになる頑固娘ジャンヌを演じたカトリーヌ・スパークがなかなか良かった。・・・
新書版一冊分の内容を45分でやろうというのはいかにも無理な話だが、案の定かなりヒサンな出来のOVAとなってしまった。
時間を端折るために細かい描写はほとんどナレーションで片付けられ、まるでラジオドラマのようだし、キャラクターはぜんぜんといっていいほど魅力がないし、メカ描写は手抜きの極致だし、音楽はチャイコフスキーのパクリだし、いいところがまるっきりないのだ。もし旭日もこんな形でアニメ化されるなら、パスしたほうが賢明だろう。・・・
一応設定は近未来となっているが、低予算のゆえか余り未来を感じさせるものは出てこない。しいていえば事故で声帯を失ったマックスの同僚が合成音声でしゃべるところくらいか。
ストーリィはこれ以上単純化しようがないほど単純であるが、徹底したローアングルによる撮影は今見ても新鮮で、一気にラストまで引っぱる力をもっている。近い将来かならず出るであろうマッドマックス2のワイドスクリーン版も期待大だ。・・・
名作という評判の高い作品なのだが、たしかにアニメとしての技術的な部分は評価できるものの、話のほうはそれほどたいしたものではなかった様な気がする。
台詞運びからしてかなり宮沢賢治の原作に沿った作品だとは思うが(ラストは違うそうだが)他の宮沢作品を映画化したものほど独特な世界を形成してはいないのだ。考えて見ればこの作品は「銀河鉄道の夜」や「風の叉三郎」より早い映画化なのだから仕方がないのかもしれない。・・・
もう何度となく観た作品で、ストーリィもほとんど丸暗記状態なのだが、それでもこうしてプロジェクターの大画面で観ると感動してしまう。これまで観てきた宮崎のオリジナル・アニメのなかでもやはり一番の傑作だと思う。
メチャクチャに強くそして優しいナウシカの設定など、下手をすれば浮きまくってしまいそうなキャラクターだが、それに見合うだけのハードな世界観のおかげでうまくバランスのとれた話になった。というより、ナウシカほどの完璧な人間でなければあれほど悲観的な状況を救うことなど出来はしないと納得させられてしまうのだ。
やはり名作中の名作といっていい作品だろう。・・・
例の冬戦争を扱ったフィンランド映画である。フィンランド人の映画監督といえば、レニー・ハーリンを始め結構いるのだが、映画を観るのは今回が初めてである。
一口でいえば非常に地味な作品であるが、戦車や飛行機など当時の実物を使っており、特に飛行中のI-16は初めて見るもので実に興味深かった。欲をいえばせっかく飛行機を出すのなら大活躍したフィンランド空軍にも多少はスポットを当てて欲しかった気もする。・・・
筒井作品は映画化されたものも結構多いのだが、なぜか当たったものといえば「時をかける少女」くらいのものである。やはり今の日本映画界の体質からして筒井作品の完全映画化は無理なのかもしれない。
本篇は筋立て等かなり原作に忠実に作られてはいるものの、全体にTVのサスペンス劇場風で、あまり「映画だ!」という風格を感じさせてくれない。テンポや構図のとり方など実にTVっぽいのだ。
コメディアン系の役者をうまく配した直本賞(原作では直廾賞であるが、発音の問題でこうなったのだろう。それは出版元の文藝春愁も同様である)選考委員会のシーンなどは結構面白いのだが、もっと過激なアドリブをかまして欲しかった気もする。アドリブといえば銀座の文壇バーで暴れるSF作家を演じた筒井康隆本人がなかなかがんばっていたが、あれだけの長台詞を一気にまくしたてる演技力はたいしたものである。(なのにどうしてCX版の「時かけ」ではあんなに下手だったのだろう)
この映画の一番の問題点はやはり選考委員を一人一人ブチ殺すまでに至る主人公の心の動きを十分に追っていない点と、凶器となる猟銃をいかにして手にいれたかを描いていない点であろう。おかげでラストはまったくのファンタジーで終ってしまった。こここそがこの映画の一番のポイントになったはずなのに、これはやはり脚本というよりは演出のマズさだと思う。
ここさえちゃんとクリアしていれば、それなりの作品として多少の評価は出来たかもしれないと思うと、かえすがえすも残念である。・・・
NTSC方式でビデオ化されたため、THE DREAM is ALIVE同様アイマックスの能力はほとんど発揮されてはいないのだが、前作より環境ビデオ風な色彩が濃くなっており、ナレーションもアナログ音声のみとなっている。
とても心地よい作品だが、見ていると眠ってしまいそうなところが欠点といえなくもない。もっとも寝ていても番組中盤の雷鳴で目が覚めてしまうだろうが。・・・
それまでは比較的シリアスなアクターだったレスリー・ニールセンがコメディに開眼したヒットシリーズ一作目だが、さほど大爆笑とはいかず、少々外した感がなくもない作品であった。
ドラマやギャグより驚いたのは、ヒロインを演じたプリシラ・プレスリーの若さ(!)もう20年近く昔に他界したプレスリーの離婚した元女房なわけだから、相当な年齢のはずなのだが、レスリーとならぶとまるで娘のように見える。まさに女は化けるとはよくいったものだ。・・・
映画公開からほぼ一年と三ヶ月、ようやく手にいれたLDを見直したのだが、やはり物凄い映画である。とにかく登場する7種の恐竜がまるで生きているようにしか見えないのだ。
この映画の欠点といわれる脚本の陳腐さも、スピルバーグのタイトな演出と恐竜の素晴しさで吹っ飛んでしまう。これでもう少しマシな脚本だったら完璧な映画になったかもしれないが、演出に力をいれるあまり恐竜の登場シーンが削られたりしたら元も子もない。
素晴しいの一語に尽きる恐竜たちではあるが、CGの恐竜たちは完成時期の違いからか出来にいくぶんか差がある(ラストのレックス対ラプトルの戦いに比べると、最初に登場するブラキオの動きは明かにモデルアニメのそれである)ものの、史上初の快挙には違いない。・・・
先日、12年ぶりにテレビ放映バージョンを見直してみたが(上映時間からしてほぼノーカット放映)当初思ったよりなかなか良く練られたシナリオであった。グラント博士(サム・ニール)たちが島に着いた時点からだとちょうど一昼夜くらいの物語なのだが、プロローグを除く2時間程度の間に恐竜再生の仕組みやパークのシステムとその崩壊、さらに次々に襲ってくる恐竜たちのキャラクター付けと、さまざまな要素を手際よく配分している。また、当初言われていた「原作にある文明批評的な要素が欠落」などという批判も、ジェフ・ゴールドブラム演じるマルコム博士がハモンド(リチャード・アッテンボロー)に向かってかなり執拗に(「自然をレイプする」など過激な表現を使って)語っており、どうやら批判した評論家氏、このシーンにはトイレにでも行っていたようだ(もっともマルコムの言い分も、文明批評とみずからのカオス理論とのかねあいがやや不明確で、ともすると批評というより単なる自説の補強に聞こえてしまうのが難点だが)
特に素晴らしかったのは、やはりティラノサウルスが初登場するシーン。全身が写るシーン以外のほとんどがアニマトロニクスで撮影されており、そのリアリティはCG万能の現在氾濫している同類より遥かに上を行っている。触れることのできる実物がそこにある、という事実はやはり雄弁なのだ('06.12.29 追記)
ディズニーの長編劇映画第一作であり、なんと57年も昔の作品なのだが、それがとても信じられないほどの画質、音質の良さである。いくら保存状態が良好であっても57年もたてばネガの劣化は免れないところだが、高度に進んだ現代のCG技術が初公開時の状態に匹敵するクオリティまで補修したのだそうだ。
まったく「ジュラシック・パーク」の恐竜といい「白雪姫」の補修といい、現代のコンピュータ技術はもうすでに魔法の水準に達しているのかもしれない。・・・
青春映画の傑作という地位はいささかも揺るがないだろうが、今の眼でみると多少変なところもあるにはある。
たとえば三人が宝探しに使う道具、特にクルーザーは一体どうやって手にいれたのか謎である。まさか買ったはずはないから、どこかから借りたのだろうが、その金は一体どこから出たのか。まあ、そんなことがまったく気にならないのがこの映画の魅力なのだが。・・・
いうまでもなくあのアビスのディレクターズ・カット版である。主にキャラクター描写に主眼が置かれていて、目玉であるSFXシーンの追加は例の大津波のシーンほか少々といった程度。
大津波のSFXはさすがに見事ではあるが、やや合成が不自然なところもある。全体的に少しテンポが遅くなってしまった感はあるが、それでもあのエンディングには泣かされる。やはりキャメロンは愛の作家だ。・・・
静止画にすると一コマ一コマが絵画として通用するグレードをもち、無論アニメーションとしての技術も申し分なく、作品のテーマ性も今日的で素晴しい作品である…と手放しでは褒められないところがどこかにある感じがする。
具体的にここがこうだという欠点がある訳ではないが(やたらと視点の移動が多く、落ち着かないことが欠点といえなくもない)要するに説教臭いのだ。30分弱の時間でこういうテーマを扱うのに、ドラマ仕立ては不可能だろうが、こうも声高に自然保護を訴えられると、ヘソ曲がりな僕としては「お説ごもっとも」とでもいうしかない。もちろん素晴しい作品に違いはないのだが。・・・
こういう作品をみると本当に昔の日本映画は面白かったんだと痛感してしまう。設定といい脚本といいキャラクターといい、昔はプログラムピクチャーでもこれだけのことがやれたのだ。撮影も今風のTVフレーム的な構図の取り方とは違って、これぞ映画というフレーミングは今観てもいささかも古びていない。・・・
若い頃観たときにはそのテーマ性だけで圧倒されてしまい、なんだか大傑作を観たような気がしたものだが、今観るとテーマ性だけにオンブしてしまい、娯楽作品としてあまり楽しめないどころか、ほとんど観客の存在を無視した生硬な作品となってしまった。
せっかく三国連太郎他の名優を起用していながら生かし切れていない。あまりに善悪の構図が単純で、人物描写が通り一遍なのだ。ドラマという形式をとるならもう少しドラマツルギーを大切にしてほしかった。田中正造という男の人物像をちゃんと伝える工夫をすべきだったと思う。・・・