おまけ命!!


 おまけと言ってまず最初に思い出すのは、グリコである。子供の頃から、僕はよくおまけ目当てにグリコを買っては、少ない小遣いを使い果たしていた。本格的にプラモデルに開眼する前、小学校低学年の頃の話である。当時のおまけは確かブリキか何か、金属製であった。その後まもなくおまけはプラスチック製になり、ずいぶん長い間その状態は続いた。

 ごく最近、スーパーの店頭で懐かしいグリコを発見した。中味は昔の立方体のキャラメルとは違って、ハート型をしたキャラメル風味のもう少し柔らかい飴に変わっていたが、相変わらずおまけが上の小さな箱に入っていた。おまけは昔のものよりもずいぶん大きく、なんと木でできていた。左の写真がそれである。一応車輪が付属していて、転がして遊べるようになってはいるが、子供のオモチャというには少々洗練され過ぎて、むしろトレンディ(←死語?)な部屋の出窓あたりに観葉植物と共に置いたら似合いそうだ。

 そう、今のグリコには、おまけが持っていなければならない何かが欠けている。一方で、スーパーの棚を見渡すとさまざまなおまけ付きの商品がひしめき合っている。その中には、その「何か」をたっぷり含んだものもある。ここからは、それらのものを少し紹介してみようと思う。


 「食玩」というジャンルを開拓したのは、カバヤのビッグワンガムだろう。それまではまがりなりにもお菓子が主、おまけは従の関係を保っていたのだが、ビッグワンガムはパッケージのほとんどの容積をおまけが占め、ガムそのものはほんの片隅に、申し訳程度にたった一枚存在していたに過ぎない。

 さて、肝心のおまけだが、写真のような小型ではあるが本格的なプラモデルが入っていた。左はホンダ・クイント・インテグラ、右はウィリアムズ・ホンダFW-10。いずれも大手プラモメーカーによってキット化されていない、まったく独自のキットである。もちろんキット化されているいないに関わらず、種々雑多なキットが開発され、売られていた。現在までの累積では、一体どれくらいの種類に登るのだろうか。

 残念ながら素材がハイゼックスという、ポリエチレン系の塗装も接着も効かないものであったため、普通のプラモデルのように綺麗に塗装して仕上げることができないという難点はあったものの、それでもアイテムの選択やキット化のセンスはもはやおまけの域を超えていたように思う。


 森永製菓が発売していた、機動戦士ガンダムの食玩。例によってお菓子(これは確か丸いボーロのようなビスケットをチョコでくるんだもの)よりはおまけの超小型プラモの比重の方が高かったが、容積そのものはややお菓子の方が大きかったような気がする。特筆すべきはおまけの素材で、なんと、一般のプラモデルとまったく同じスチロール樹脂でできており、接着も塗装も可能だった。デッサンもこの種の製品としてはなかなかよく、当時の模型雑誌で、このキットを用いた情景作品もよく見かけた。

 ガンダム以外に、ZガンダムやZZガンダムのキットもそれぞれ販売されていた。成型色がアニメの設定とかけ離れたものが多かったのが残念だが、どうせ塗装するのが前提のキットだったので、さして問題でもなかったのだろう。


 これを見て、少し前を思い出して懐かしく思っている方も多いのではないだろうか。ペプシコーラのボトルキャップ、スターウォーズエピソード1と、ペプシマンのシリーズである。とくにエピソード1の方は爆発的にヒットして、にわかコレクターが続出するわ、専用収納ケースが何種類も発売されるわ、大変な騒ぎであった。 

 スペースの関係で写真が小さく、実際にはまだこれに倍するくらいのボトルキャップが僕の本棚の上に転がっている。もっともこれに関しては、コレクションのために集めたというより、当時よく飲んでいたダイエットペプシにおまけとしてついていたために、何となく集まってしまったというのが正直なところだ。

 ちょっとびっくりなのが、フィギュアとボトルキャップ本体の接着方式だ。実はこれ、接着剤などのたぐいを使っているのではなく、超音波を使って両者を溶融接着している。従って、接着強度は非常に高く、刃物を使わなければはがすのはほぼ不可能だ。こんなところにも最新テクノロジーが使われているあたりが、いかにも現代である。


 ペプシのボトルキャップに代わって現在大ブレイク中なのが、フルタのチョコエッグシリーズである。すでに解説本が何冊も出版され、なんとYAHOO! のオークションでは、専用のカテゴリーまでつくられている。基本的にはチョコレートの内部におまけの入ったカプセルが封入されている、キンダーサプライズなどと同系列のものなのだが、おまけの驚異的な出来の良さと、種類の豊富さで人気に火がつき、現在までに150種類を越えるアイテムが発売されている。

 おまけは日本の代表的なガレージキットメーカー、海洋堂の松村しのぶ氏が原型を造り、中国にて製作、さらにそれをイタリアに持っていき、チョコで回りをくるむという、ワールドワイドな過程を経て身近なスーパーやコンビニに並んでいるのだ。松村氏の造形もさることながら、中国側の塗装技術もなかなかのものだ。これほどの手間をかけて作られていながら、わずか150円という価格設定にも驚かされる。


 上と同じフルタ製菓がやはり食玩として発売したアールタイプ・カーチョコシリーズ。こちらはチョコエッグと違っておまけがブリスターパックされており、自分の好みのアイテムを選択することができる。

 右下の写真からわかるとおり、おまけの大きさはかなり小さい。なんと、航空機モデルでは一般的な1/72というスケールなのだ。しかしその出来はまさに驚異的で、ボディはダイキャストに吹き付け塗装という、本格的ミニカーであった。ホイールは車種ごとにあつらえてあり、室内のインテリアもきちんと再現してあった。

 車種はすべてヨーロッパ車で、日本車やアメ車は一車種もない。メーカーはホンウェルという中国の会社で、普通のミニカーとしても少数が日本に入荷しているが、ほとんど市場には出回っていないらしい。


 これはおまけと言うには少々違う気もするが、お菓子以外のものが入っているという点においては、やっぱりおまけ付き菓子と言うべきかも知れない。

 ひとつのパッケージに二人の新人の歌の入ったCDシングルが一枚封入されており、気に入った歌手をユーザーが推薦して、選ばれた三人がユニットを結成して2001年にデビューするという企画ものなのだ。スナックは全部で五種類、計10人の歌手がリストアップされている。この手の音楽を聴く層と、この種のスナック菓子を好む層が重複することに着目した企画らしいが、考えてみれば一人5個以上はまず買わないわけで、長い期間売ることはできない。もちろん売る側もそんなことは百も承知で、推薦の締め切りは2001年1月、つまりそれまでの間の期間限定商品なのだ。

 もしこの中の誰かが大ブレイクしようものなら、ここに写っているCDなど超レアものとして法外な金額で取り引きされることになるのだろうが、さて、そう思うようになりますかどうか・・・。

 余談だが、スナックの方はいつの間にか北日本食品からブランド名と同じブルボンに社名を変えたメーカーの製品で、なかなかおいしい。


 ある意味もっとも驚異的なのが、ここにお見せするディズニー映画「ダイナソー」に登場する恐竜たちのキャラクター玩具であろう。これは販売されているものではなく、ハッピーセットという、ハンバーグ(もしくはチキンナゲット)とポテトフライ、それにドリンクを組み合わせたセットにおまけとしてついてくるオモチャである。大きさは写真ではわからないが、一番大きなプラキオサウルスで、全長20センチ程度。おまけとしてはけっこう大きなものである。たいていの食玩が、オモチャの価格を定価の中に含めているのに比べ、ハッピーセットはオモチャなしのセットとほとんど変わらない価格設定である。企業努力のたまものと言えるだろう。

 オモチャは全部で四種類あるが、主人公のイグアノドンはオスメスがモデル化されているので、モデル化されている恐竜はプラキオサウルス、スティラコサウルス、イグアノドンの三種類ということになる。


 さて、つらつらとさまざまなおまけたちを眺めてきたが、ここで最初に書いた、今のグリコに欠けている「何か」について考えてみよう。基本的にオモチャではない「ジ・オーディション」のCDを除くと、このおまけたちには共通点がある。それははっきりとした具象性だ。車であったりロボットであったり、またフィギュアであったり動物であったり恐竜であったりするが、そのいずれもがきわめてリアルに実物を写し取っている。

 翻ってグリコのおまけは、写真のものではかろうじてイルカと象をかたどっているのはわかるものの、あまりに抽象的で、おまけに実物にはない車輪がついている。これでは小さい子供には一体何をかたどっているのか、理解できないのではないだろうか。自分が小さい頃のことを思い出してみると、オモチャは必ず何かの役割を与えられ、それに扮していたように思われる。今のグリコのおまけには、そうした具象性が希薄だ。白木の素材を使用し、環境への優しさや情操教育的効果を狙ったのだろうが、そうした理屈で武装した大人にはアピールできても、肝心の子供たちには間違いなく不人気だろう('00.12.20 記)


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