1/72 ミニカー・コレクション 4(後編)

 前回からさらに3年の月日が流れ、1/72スケール・ミニカーをめぐる状況は大きく変化しました。

 まず、代表メーカー・ホンウェルの日本代理店であった国際貿易が、ホンウェル製品の取り扱いをやめたため、新製品が国内に入って来なくなってしまいました。単価があまりにも安いため、不況下で利鞘を確保できなくなったということらしいですが、ホンウェル製品の大きな魅力のひとつがかえって仇になってしまったかと思うと、残念でなりません。

 また、ホンウェルの対抗馬であったリアルXシリーズを企画製作していたプラモデルメーカー、ヨーデル模型が倒産してしまったのもショックでした。リアルXシリーズのメーカーである香港のリアルトイ社は存続していますが、ヨーデル模型の倒産後にはリアルXの新製品は出ていないようで、メインであった日本市場が消滅した今、すでにラインナップからなくなってしまったようです。

 そして、第三のメーカーとして期待されていたヤトミンでも、今年のラインナップから1/72シリーズは消えてしまいました。

 近年、日本国内で1/72スケール・ミニカーの新製品を手に入れられる環境はきわめて限られるようになってしまいました。そんななか、孤軍奮闘していたのが、以下に取り上げたコンビニ・チェーンが展開した缶コーヒーのおまけコレクションです。

1.ローソン:缶コーヒーのおまけコレクション

a: Ferrari 軌跡の名車コレクション

 まだホンウェルもリアルXもお店で手に入った2007年に始まったのが、コンビニチェーンのローソンが展開した「軌跡の名車コレクション」です。

 第1弾はフェラーリでした。フェラーリといえばホットウィールのマテルが版権を持っていたので、その仕上がりはやや危惧されましたが、実質無料のおまけとしてはかなり力の入った出来で、個人的には満足しています。第3弾「スーパーカーコレクション=最終章」と合わせて9車種、合計14台がラインナップされました。

b : Ferrari 軌跡のF1コレクション

 軌跡の名車コレクションに続く第2弾として発表されたのが、「軌跡のF1コレクション」と題されたフェラーリ歴代F1カー・コレクションでした。

 全7種類とやや少なめなのが難点ですが、このスケールのF1モデルは初めてで、出来もそこそこ良く、満足しています。詳細なマーキングはタンポ印刷ではなくデカール仕上げで、貼り付け位置に少々バラツキが見られたのが残念でした。しかし、デカールなので水をつければ剥すことができ、正しい位置に貼り直すことも可能です。

 もうひとつ、本来ならクリアパーツであるべき風防が、ダイキャストで一体成型されていたのも残念(;o;)

 もっともこの点は、以前展開した1/64のサークルKサンクス=京商製品もそうでしたが^^;

c: ランボルギーニ軌跡の名車コレクション

 フェラーリ・コレクションが「最終章」で完結したあと発表されたのが、フェラーリとならぶスーパーカー、ランボルギーニの「ランボルギーニ軌跡の名車コレクション」でした。

 こちらも、続く「ランボルギーニ スーパーカーコレクション」と合わせて14種類が出ましたが、ちょうど同じころに↓のジー・アローズ製品が店頭に並んだため比較の対象となってしまい、やや苦戦気味でした。

 もともと無料のおまけでしたから、どうしてもある程度の省力化、つまり簡略化は免れず、安価であっても有料だった他社製品に比べ、ハンディキャップがあったであろうことは否めません。

 しかし、←の360GTやシルエット、ガヤルトなど他社からは出ていない車種もあり、その存在は貴重だったと思います。

d: スカイライン50th軌跡の名車コレクション

 ランボルギーニのあと、ローソンが選んだ「軌跡の名車」はなんとスカイラインでした。フェラーリとランボルギーニは当時、このスケールではほとんど存在しなかったので貴重でしたが、スカイラインはすでにいくつかのメーカーから発売されており、希少性という点からはあまり評価できませんでした。

 また、肝心の製品の出来もこれまでのものに比べてやや劣っており、正直いって期待外れでした。コレクションの量もいささか多くなってきたので、今回は他社製品と競合するものの購入は控えました^^;

 写真はシリーズ中唯一他社から出ていなかったV35型/350GTクーペ(右)と、オンラインの抽選で入手できたV36型/350GTタイプSP(左)です。左のV36はボンネット内に詳細なエンジンが搭載されているなど、シリーズ製品とは一線を画した出来で、これまで発表されたローソンの名車コレクションでも最高の逸品でした。

e: Ford 甦る伝説コレクション

 スカイラインに続くのは、前回の不評から反省したのか、1/72スケールでは初のフォードのスポーツカーでした。今回はすべて他社から発売されたことのない車種で固めており、出来も明らかに前回より良くなっていました。

 欲を言えば、もう少し車種を増やすか、カラバリを増やして欲しかったところですが、なにしろ無料のおまけですから、贅沢は言えません^^;

 また、マスタング系列の二台がいずれも暗色系のメタリックカラーなのも残念。どちらか一台はもう少し派手な原色系でもよかった気がします。

f: RUF軌跡の名車コレクション

 フォードに続く1/72軌跡の名車シリーズは、ポルシェをベースに高性能のチューニング/カスタムカーを製作しているRUFを取り上げています。

 RUFは当初、写真右のイエローバードのような、ポルシェの外観を残したままのチューニングカーを製作していましたが、現在では写真左下のCTR3のように、ベース車(911)とはエンジンの搭載方式さえも異なる、ほとんどオリジナルに近い車を製作しています。

 今回はローソンもかなり力を入れたらしく、いずれも高い水準でまとまっています。ユーザーの評価もシリーズ中随一になっていたようです。

g: 警察車両コレクション

 途中、1/80や1/64スケール製品も挟んで展開してきたローソンの缶コーヒーおまけミニカーですが、1/72スケールとしては、現時点ではこの警察車輌コレクションが最新のものとなります。シリーズは全6車種でしたが、このうち白バイは1/48スケールだったので、ここには掲載しておりません。

 出来は前作のRUFに比べてやや劣る感じですが、おまけとしてはむしろこちらの方がスタンダードかもしれません。

2.ファミリーマート:フォーミュラワン・キャンペーン

 2008年のF1シーズンが始まったころ、突然ファミリーマート系列のお店にズラリと並んだのが、このファミリーマート・フォーミュラワン・キャンペーンのミニカーたちでした。頒布方式はローソンと同じく缶コーヒー二個にひとつをキャップ式に取り付けるタイプで、ローソンの射出成型ケースよりずっと質素な真空成型ケースに入っていましたが、2007年に参戦した全11チームすべての車種を揃えた野心的な製品でした。

 ローソン製品と違い、ケースなどにスケール表記はありませんが、ローソンF1とほぼ同じ全長で、わずかにタイヤが大きめなことを除けばほぼ1/72スケールと言っても差し支えないでしょう。

 ボディワークがダイキャスト製であったローソンと違い、パーツのほとんどはABS樹脂製で、分解も簡単にできるので、改造には適していると思います。近年のF1はお互い非常に似通っているので、少し手を加えて自作デカールを貼るだけで、好みのチームの車にカスタマイズすることも可能でしょう。

 もっとも、2007年の車は最初から全チーム揃ってしまっているので、改造するとしたら違う年度ということになり、その年のレギュレーションに合せるための改造の方が、かえって面倒かも知れませんが^^;

 ↓2007年に活躍した日本チームの車たち。残念ながら、2010年度にはすべてグリッドから姿を消してしまいました。

 現在の経済状態からすると、どのチームも当分復帰は不可能でしょうが、いずれ再びサーキットに姿を現す日を気長に待ちたいと思います。

3.ジー・アローズ:ランボルギーニ ダイキャストカーコレクション

 ローソンの「ランボルギーニ軌跡の名車コレクション」と前後して、新興メーカージー・アローズから登場したのがこの「ランボルギーニ ダイキャストカーコレクション」でした。2007年ごろ、コンビニ各店よりブラインドボックス方式で発売されていました。

 他社の製品とはやや作りが異なり、ルーフを含む窓全体を透明樹脂で成形して、ルーフだけボディカラーで塗りつぶすという手法をとっていて、そのおかげでフロントウィンドウからルーフにかけての段差がほとんどない仕上がりになっています(ミウラ/イオタ系列を除く)

 ジー・アローズはどうやらヨーデル模型の系列会社か、同社内の特命チームの名称であったようで、カラバリ製品がヨーデル模型名義で発売されています。

 また、シャシー下面のネジ穴と固定用ピンの入る穴の位置関係が、リアルXシリーズのものとまったく同じになっており、リアルXのディスプレイ・ベースにそのままネジ留めすることができます。そのことから、おそらくこのシリーズを実際に製作したのは 、リアルXシリーズのリアルトイ社と思われます。

4.サークルKサンクス=京商:007 J.ボンドミニチュアモデルシリーズ

 コンビニのサークルKサンクスと、ミニカーメーカー京商の共同企画であるミニカーコレクション・シリーズは基本的に1/64スケールですが、2006年に発売された「007 J.ボンド ミニチュアモデルシリーズ」だけは、なぜか1/72スケールで統一されていました。

 その理由はわかりませんが、ミニカーのみならず、写真→のリトルネリー(オートジャイロ)や、ロータスエスプリ潜水艇など車以外のアイテムもいくつかあったので、より一般的な1/72スケールを選択したのかもしれません。

 いずれにしろ、おかげでロータス・エスプリやトヨタ2000GTオープンなど、他社からは出ていない車種を手に入れられて、個人的にはハッピーでした(^_^)

 その出来はさすがに京商で、初めて1/72スケールを手がけたとは思えないほどしっかりしていました。自社ブランドのビーズ・コレクションとスケール的にかぶる1/64ではなく、全シリーズを1/72でやってくれたら現在の1/72スケールの状況も変わっていたかも、と思うと残念でなりません(;o;)

完結編・リアルX編は近日公開ですm(_ _)m

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