本当に酷いのは誰? おすすめ度 ★★★★☆
『戯言シリーズ』の2作目,02年05月のノベルスの文庫化です.
ミステリとしてもまずまずだった前作とは雰囲気が違っており,
どちらかと言えば,事件は物語のためのきっかけくらいの印象で,
犯人やトリックなどより,動機や人間関係が強く出ているようです.
中でも,主人公の内面が嫌悪感を抱きそうなほどに深く描かれ,
ほかの人物が崩れていくさまも,エグいながらも読みどころです.
主人公の酷さや冷たさばかりが目立っている『やり取り』にしても,
真相が語られたあとからでは,また違って映るのではないでしょうか.
また,『ひと言』で一気に引き落とされる最後がなんとも言いがたく,
締めに綴られたシンプルな英語のメッセージが苦い余韻を引きずります.
これ以外にも,過去への意味深な思いや暗い未来を暗示する言葉など,
前作と同じく詳細は語られないものの,まだまだ広がりそうな感じです.
ノベルス版との違いは,表紙,扉絵,アトガキ,表紙袖にある前口上で,
文庫版オリジナルのしおりとカラーの扉絵はサブタイトルにある少年くん.
加筆や修正の類は,これからの文庫化でもできるだけおこなわないそうです.
なお,先の少年くんをメインに据えた新作が今後四部作で予定されており,
08年08月の『メフィスト』誌から先行掲載,書籍化されていくとのことです.
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