第20回ゆふいん文化・記録映画祭(2017) 
上映作品一覧

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上映作品紹介リーフレット(クリック)

 2017年6月23日(金)前夜祭
プログラムA

作品上映・
ゲストトーク
 19:00〜20:30

<アマチュア8mmカメラマン 中山太郎の世界>
 九州出身のアマチュア8mm映画作家・中山太郎の自主制作フィルムを観る企画。
 中山太郎は、福岡だけでなく日本の小型映画の指導者でもあり、アマチュアながらも
 フランス・カンヌ国際小型映画コンクールのグランプリを受賞する等の数々の名作を残し、
 アマチュア8mm映画全盛の頃は四天王と呼ばれた一人。

『博多人形』
  1952年/24分/8mm(DVD上映)
  撮影:中山太郎
 数多い中山太郎作品群の中の第一作として撮られた作品。
 博多人形師の名人・小島与一を取り上げた「出来るまで映画」の代表作。
 昭和26年に製作が始まった当時の福岡の街は廃墟からようやく復興の兆しが見えて来た頃。
 その当時の博多の町並み、博多川や那珂川の昔懐かしい風景が織り込まれ、
 さらに蒸気機関車が走っていた頃の旧博多駅前界隈の様子など、
 珍しく貴重な記録が残されている。

『旅役者』
  1958年/28分/8mm(DVD上映)
  撮影:中山太郎
 青い眼の女座長・筑紫美主子。
 彼女の一座は福岡、熊本、佐賀の三県を地盤として、旅から旅を打って回る旅役者である。
 浮草のわびしさ、厳しさを芝居小屋や舞台に、そしてこの一座を支持する観客層までを
 含めて、女座長と座員たちの人間像を描く。佐賀には美主子の家があり、亡夫の母もいる。
 忙しい旅回りの合間をぬって、主婦として、嫁として、
 そして一人息子の母としての顔も見せる。


ゲストトーク:松本圭二 さん (福岡市総合図書館)
 2017年6月24日(土)
プログラムB

作品上映・
ゲストトーク
 10:00〜11:50

【文化映画研究講座】
《戦時期日本の文化映画プロダクション・芸術映画社の挑戦》

『機関車C57』
  2016年/100分
  1940年/44分/芸術映画社
  監督:今泉善珠/撮影:大小島嘉一
 当時の最新鋭の旅客列車「C57 型」に携わる国鉄従業員の仕事ぶりを、
 検査、投炭作業、整備、乗務の4 部にわたって描いた作品。
 最後の乗務中を記録したシークエンスは、ナレーションや音楽を使わずに構成され、
 実験的で迫力に満ちている。

『或る保姆の記録』
  1942年/35分/芸術映画社
  演出:水木荘也/撮影:橋本龍雄/脚本:厚木たか
 都内の工場地帯にある保育所の日常生活を、保姆の視点を通して生き生きと記録した異色作。
 子どもたちの朗らかな表情や保姆と母親たちの気取らない交流が、
 戦時期であることを忘れさせるようなトーンで豊富に捉えられている。

ゲストトーク:森田 典子 さん(映画史研究者)
プログラムC

作品上映・
表彰式
 12:30〜14:00

【第10回 松川賞】受賞作品

『葛根廟事件の証言』
  2017年/60分
  撮影・監督:田上龍一

 太平洋戦争が終結する前日の1945年8月14日、旧満州(現在の中国東北部)から
 引揚げ避難中の日本人が、ラマ教寺院葛根廟(内モンゴル自治区)付近で
 旧ソ連軍の戦車隊の襲撃にあい2時間余りの間に非武装の女性、子供を主体とした
 1,000人以上が殺害された。生存者は百数十名にすぎないとされている。
 殺害を免れた者も避難の途中で暴行を受けたり、
 或いは自らの手でわが子の命を奪い逃げざるを得なかった。
 この筆舌に尽くせぬ悲惨な「葛根廟事件」は、どのようにして起きたのか。
 自らの辛い体験に長く口を閉ざしていた生存者や関係者が、ようやく語り始めた
 貴重な証言をもとに、事件がどのようなものだったのか、あの日何が起こったのか、
 そしてその後の被害者の人生をどう変えたのかを描く反戦ドキュメンタリー。

表彰式・受賞者シンポジウム:田上 隆一 さん
         (第10回「松川賞」受賞者) 
プログラムD

作品上映・
ゲストトーク
 14:40〜16:30

作品解説:大澤 啓さん(東京大学総合研究博物館特任研究員)
「雲の伯爵」と呼ばれ富士山に魅せられた科学者、阿部正直。
 彼は自費で研究所をつくり富士山の雲を観測し続けた。その貴重な山雲観測映像を2本。

『雲と気流』
  1946年/22分/35mm=DVD上映
  理研科学映画株式会社/企画:中央気象台
  指導:阿部 正直/出演:富岡 捷/撮影:松尾 芳楠/編集:岩堀 喜久男
 阿部正直は、御殿場で観察した雲の生成過程を究明すべく、
 本郷西片の邸宅に実験室を設けていた。富士山の模型を用いった風洞実験を重ね、
 気流の動きを再現し、そのプロセスを撮影した。
 阿部正直の研究成果を教育用に纏めた本編は、1951年に出版された
 岩波写真文庫『雲』の映画版とも言える。
 雲の観測映像と風洞実験映像の組み合わせによって、
 雲の発生・風と雲・山と雲の各テーマが明快に紹介される。
 教材として簡素に編集されたものの、各場面を区切る富士山頂の幻想的な映像が
 印象的である。

『富士山 雲の動き』
  1929年/18分/35mm=DVD上映/白黒/無声
  制作・監督:阿部 正直/撮影:阿部雲気流研究所
 富士山の麓を飾る雲から山頂を覆う雲海まで、各位相で発生する雲を体系的に分類し、
 阿部雲気流研究所で撮影された観測映像をもってその特徴を説明する、詩的な科学映像。
 中でも、阿部正直の研究対象であった「つるし雲」の分類が細かく説明されている。
 雲を形成する気流の生成過程を可視化するために、雲が写っている映像の速度を
 80から160倍まで加速した映像編集技術を用いている。

『真正粘菌の生活史 〜進化の謎・変形体を探る』
  1997年/28分/16mm=DVD上映
  監督:樋口源一郎/撮影:石井薫久
  製作:シネ・ドキュメント
 「真正粘菌の生活史」は、土壌微生物の種類である粘菌と呼ばれる
 菌の生態を追った科学映画。一般には聞き慣れない真正粘菌と呼ばれるその生物の
 原始的とも言える生き方は、他の生物にも見られない独特のものがあり、
 進化の謎を解き明かす多くの鍵が秘められている。不可思議な生命力を持ったこの菌を、
 3年間にわたって様々な角度から追い続け、その全容に迫ろうとした力作。
 20年前、記念すべき第1回の当映画祭で上映し、
 科学映画の面白さに目覚めさせてくれた作品。
 2006年の第9回当映画祭の樋口源一郎特集でも再上映され、再々度のアンコール上映。

ゲストトーク:池内 了 さん(宇宙物理学者)
プログラムE

作品上映・
ゲストトーク
 17:20〜20:10

『無音の叫び声』
  2015年/122分/DVD
  監督・構成・編集:原村政樹
  出演:木村迪夫/語り:室井滋/朗読:田中泯
  プロデューサー:高橋卓也 ほか
  企画・製作:映画「無音の叫び声」製作委員会

 「にほんのひのまる なだてあかい
    かえらぬ おらがむすこの ちであかい(祖母の歌)」
 戦後日本を代表する農民詩人・木村迪夫の生き様を追ったドキュメンタリー。
 1935年、山形県の小さな村に生まれた木村は戦争で父を亡くし、
 戦後の高度経済成長の中でも社会の底辺での生活を強いられた。
 そしてその経験をもとに、社会の矛盾や反戦への思いをつづった詩を60年以上にわたって
 創作し続け、発表した16冊の詩集は数々の賞を受賞した。
 戦後70年。東北の小さな村から戦争と平和を、そして戦後の歩みを見つめ続けてきた
 木村の目を通して、日本の今を照らし出す。
 日本農民文学の最高峰と言われる木村の作品や人生を通し、その人間的な魅力に迫る。

ゲストトーク:原村 政樹さん(監督)
       菅野 芳秀さん(有機農家)
   20:20〜 花の盛の懇親会
 2017年6月25日(日)
プログラムF

作品上映・
ゲストトーク
 10:00〜12:20

『抗い 記録作家・林えいだい』
  2016年/100分
  監督:西島真司/出演:林えいだい
  朗読:田中泯
  プロデューサー:川井田博幸、倉富清文
  制作・配給:グループ現代/製作・著作:RKB毎日放送

 福岡県筑豊を拠点に、朝鮮人強制労働や戦争の悲劇など抑圧された民衆の声を徹底した
 聞き取り調査によって取材し世に送り出してきた記録作家・林えいだいを追った
 ドキュメンタリー。
 82歳という年齢で悪性のがんに侵されている林は、放射線や抗がん剤治療を続けながらも、
 現場に足を運び、史実を追い求め続けている。
 そんな林が作家人生の集大成として取り組むのが、太平洋戦争下、
 旧日本軍の特攻作戦の影で、重爆特攻機に放火した罪で朝鮮出身の若い兵士が
 日本軍に殺された事件の裏に隠された、民族差別による冤罪(えんざい)疑惑の真相だった。
 病に侵されながらも、権力に虐げられた人たちの取材に奔走する林氏に感銘を受ける。

ゲストトーク:黒川 創さん(作家)
プログラムG

作品上映
 13:10〜14:20

『嫁の野良着』
  1953年/19分/16mm
  脚本:羽田澄子
  演出:森永健次郎/撮影:入沢吉五郎
  製作:岩波映画製作所
 村の農家の嫁たちが、動きやすく機能的な野良着をつくろうと立ち上がる。
 やがて彼女たちの活動は封建的な村を変えていくことに…。

『文字の普及』
  1995年/21分/カラー/16mm
  企画・製作:蟶映画社/脚本・演出:大島善
 「文字」は、近世(江戸時代)になって庶民の間にも普及した。
 当時の暮らしが商品経済へと発展していく中で、人々はこぞって寺子屋などへ行き、
 文字を習いはじめていた。
 以来、日本の近代化の礎を築く上でも、文字を知った人々の力は重要な役割を果たした。
 近世の発達をうながした背景を「文字の普及」から追い、
 当時の人々の願いなども振り返ってみる。

『ことばを超え、境界を越える詩』
  2003年/30分/カラー
  制作:テレコムスタッフ
  ディレクター:細田英之/出演:高橋昭八郎
 日本では広く知られているとは言えないが世界的な評価を受ける視覚詩人、高橋昭八郎。
 その詩歴は《意味の重力から詩を解放する》ための激しい闘いの連続であった。
 日本語の特性から目をそらさず、一方では因習的な日本詩への叛逆を忘れず、
 間断ない緊張のもとでおこなわれた制作によって、まぎれもない「日本の」
 ヴィジュアル・ポエットとして認知されてきた彼の創作を見つめる。

プログラムH

作品上映・
ゲストトーク
 15:00〜17:20

『息の跡』
  2016年/93分
  監督・撮影・編集:小森はるか
  製作:カサマフィルム/出演:佐藤貞一

 岩手県陸前高田市。荒涼とした大地にぽつんと佇む種苗店“佐藤たね屋”。
 東日本大震災の津波で自宅兼店舗を流された佐藤貞一は、その跡地に自力で
 プレハブを建て、営業を再開した。手描きの看板に手作りの仕事道具、
 山の落ち葉や鶏糞を加えた苗床の土。水は手掘りした井戸からポンプで汲みあげる。
 その一方で、佐藤は自らの被災体験を独習した英語で綴り、自費出版していた。
 流暢な英語でその一節を朗々と読みあげ、さらに中国語やスペイン語での執筆にも挑戦。
 その姿は、ロビンソン・クルーソーのようにも、ドン・キホーテのようにも見える。
 彼は誰に何を伝えようとしているのか…。
 強くたくましい生き方と面白おかしな人柄に、観る者はぐいぐいと引込まれ、
 抱腹絶倒しながら見終わった後は、彼の不思議な魅力の虜になってしまうだろう。

ゲストトーク:小森 はるかさん(監督)
プログラムI

作品上映・
ゲストトーク
 18:10〜20:10

『ぶんきょうゆかりの文人たち 〜観潮楼をめぐって』
  1988年/38分
  制作:岩波映画製作所/企画:文京区教育委員会
  監督:時枝俊江
 文京区は、森鷗外や夏目漱石、樋口一葉、石川啄木、坪内逍遥など
 数多くの文人達が暮らした。
 森鷗外の書斎(観潮楼)跡や、彼が交流した多くの文人との足跡を残す文集や日誌、
 書簡など、豊富な資料やエピソードを紹介しながら、当時の文人たちと鷗外との
 関わりを通して、明治という時代を身近に伝える。
 生前、当映画祭をご愛顧下さった時枝俊江監督の作品。
 長年上映を企画されるも時機を逸して来たが、ついに念願上映。

『マイブルーヘブン 吉野作造 デモクラシーへの問い』
  2002年/44分
  監督・脚本・演出:松川八洲雄
  製作:ポルケ、桜映画社
 大正期に民本主義を唱え、大正デモクラシーの立役者となった政治学者・吉野作造。
 その影響は自由を求める民衆が政治に参加し政治の中心となる道を提唱し、
 日本にデモクラシーが生まれた。
 しかしその後、関東大震災を契機に再び国家主義が頭をもたげるまでの僅かな
 晴れ間の青空のようなこの時代は、同時にテロル(テロ)の季節でもあったのだ。
 光と陰のように寄り添ってきたデモクラシーとテロリズムの足どりを考察し、
 そしてついには9.11事件とその後の世界の変貌にまで繋げたラストシーンの演出は鳥肌もの。
 最後の「ゆふいん文化・記録映画祭」にかける最後の松川八洲雄作品は、
 やはりこの一本だ。上映。

ゲストトーク:森 まゆみさん(作家)
ゲスト予定者

 ・ 松本 圭二 さん(福岡市総合図書館)
 ・ 森田 典子さん(映像史研究者)
 ・ 池内 了さん(宇宙物理学者)
 ・ 原村 政樹さん(記録映画監督)
 ・ 菅野 芳秀さん(有機農家)
 ・ 黒川 創さん(作家)
 ・ 細田 英之さん(映像ディレクター)
 ・ 小森 はるかさん(記録映画監督)
 ・ 森 まゆみさん(作家)
 ・ まつかわ ゆま さん(シネマアナリスト)
 ・ 野村 正昭さん(映画評論家)
 ・ 山内 隆治さん(東京大学客員研究員)
 ・ 大澤 啓さん(東京大学総合研究博物館特任研究員)
 ・ 田上 隆一さん(「第10回松川賞」受賞者)     ほか。


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