〜AIRWOLF ORIGINAL SEASON4 EPISORD〜
SUBTITLE 『LOST TARGET』 作 ガース「ガースのお部屋」

―ACT1―
○ 田園地帯
  雲ひとつない青空。
  地上には、黄色い麦畑が延々と広がる。
  狼のような鳴き声を上げながら高速で飛行する黒いヘリ・エアーウルフ。
  高度1200m上空を推進している。
ドミニクの声「全く、人騒がせなやつめ」

○ エアーウルフ・コクピット
  操縦席に座るストリング=フェロー・ホーク。後ろのフライトシステムの座席に座っている
   ドミニク・サンティーニ。二人、フライトジャケットを装着し、黒いヘルメットを被っている。
ホーク「そうカッカするな」
ドミニク「こんなに朝早く仕事もそっちのけで探してやったのに、情報は、間違いだっただと?
 アークエンジェルの野郎、今度会ったら、あの白衣装を真っ黒に染めてやる」
ホーク「国防長官が無事で良かったじゃないか。ジェット機がどこかに墜落していて欲しかったのか?」
ドミニク「そんな事は、言っとらん。ガセ情報にまんまと乗せられた俺達のほうが間抜けだったってか?」
ホーク「今日は、やけにつっかかるな」
ドミニク「さっきから腹の虫がきりきり鳴りやがるんだ」
ホーク「その歳で食欲旺盛とは、結構な事だ。一体どんな胃袋をしてるんだ?
 あと50年は、生きられそうだな」
  ホーク、正面を見つめ、険しい目つきをする。
  スピードメーターの数字が急激に落ち始める。
ドミニク「どうした?なぜスピードを落とすんだ?」
ホーク「煙だ」
  ドミニク、前方を見つめる。
  フロントのガラスの向こうに地上から吹き上がっている白い煙が見える。
  ドミニク、手前にあるキーボードを打ち、フライトシステムのモニターの画面に地上の様子を映し出す。
  田園に囲まれた通りの道で、トラックの後ろに乗用車が激突し、激しく炎を上げている映像が映し出される。
ドミニク「事故か」
ホーク「曲がり角もないのに、あんなに派手にぶつかるなんて」
ドミニク「どうせ、どっちかが居眠りでもしていたんだろう」
ホーク「数キロ先に建ってる立派な建物は、何だ?」
ドミニク「場違いなゴージャスな建物だな。まるでスターのお城だ」

○ 機首を下げ、急降下するエアーウルフ
  高度を下げてまた推進飛行を始める。
  とある3F建て、L字型の邸宅の上空に向かって突き進んでいる。

○ エアーウルフ・コクピット
  邸宅の様子を見つめるホーク。怪訝な表情を浮かべる。
ホーク「ドミニク、あの建物の入口付近を調べろ」
  キーボードを打ち込むドミニク。
  モニターに邸宅の入口付近の様子が映る。
  門扉が破壊され、邸宅の玄関の扉にベージュのワゴンが突っ込んだ状態で止まっている。
ドミニク「さっきの事故と何か関係がありそうだな」
ホーク「調べてみよう」

○ 邸宅の上空を横切るエアーウルフ

○ エドモンド家邸宅・2F・リビング
  壁に沿って並んでいる木製の家具や本棚に銃弾で波のように穴が空いている。
  黒いソファに座り、寄り沿って座っている老夫婦ジル・エドモンドと妻マリー。
  ロープで後ろでに縛られている。
  怯えた様子。
  老夫婦の前をうろうろと歩き回っている男・ショウル・バクスター。肉付きの良いスキンヘッドの髭面。
  右のこめかみが切れて、血が頬に垂れている。
  右手にウージー銃を持ち、苛立った表情を浮かべている。
  奥のテーブルに置いてある電話のアラームが鳴り響く。
  ショウル、立ち止まり、老夫婦に銃を向ける。
マリー「息子夫婦からの連絡だわ」
ジル「余計な事喋るんじゃない」
マリー「先に言っとかないと、もし間違って撃たれたらどうするの?」
ショウル「息子が帰ってくるのか?」
マリー「そうよ。12時にここに来るの」
ショウル、腕時計を見つめ、
ショウル「あと一時間ほどか」
ジル「4年ぶりにニューヨークから戻ってくるんだ。人質は、我々だけでいいだろ。
 あの子達を巻き込まないでくれ」
ショウル「あんた達しだいだ」
  ショウル、銃口を電話の方に向け、撃つ。
  激しく鳴り響く銃声。
  電話が一瞬で粉々に破壊される。

○ 地上に着地するエアーウルフ
  砂煙が舞い上がっている。
  ホークとドミニクがヘリから降りてくる。
  ドミニク、赤い帽子を被る。ホーク、サングラスをつけている。
ドミニク「お前の鼻は、昔から犬のように敏感にきな臭い匂いを感じ取ってたよな。悪い癖だ」
ホーク「嫌なら、エアーウルフの中で昼寝でもしてろよ」
ドミニク「おうおう、なんて優しいお言葉…」
  道沿いを走り始めるホーク。ドミニク、後を追う。

○ サンティーニ航空・倉庫全景
  一台の黒いジャガーが急停止し、立ち止まる。
  車から降りる男女。黒いスーツの男と赤いドレスを着た女。共にサングラスをかけている。
  倉庫に向かって歩き出す二人。

○ 同・中
  作業服姿のケイトリン・オシャネシィ。
  手袋を脱いで、テーブルに置き、コーヒーカップを持ち、飲み始める。
  足音に気づき、表の方を見つめる。
  近づいてくる男女に気づき、慌てて、コーヒーを飲み干すケイトリン。
ケイトリン「どちら様?」
  立ち止まる二人。
  男、ケイトリンに名詞を差し出す。
ケイトリン「マークウェッド社…?」
男「カイル・サンザースだ。急ぎの用件でね。今すぐヘリを出してもらいたいんだが」
  男は、カイル・サンザース。女は、ソルディナ。
ケイトリン「生憎、今社員が出払ってるもので…」
カイル「君でいい。できるだろ?ヘリの操縦…」
ケイトリン「ええ、もちろん。でも、社長の許可なしでヘリを飛ばす事は、原則禁止になっているから…」
  カイル、右手に持っているスポーツバックから100ドル札の札束を出し、ケイトリンに手渡す。
  唖然とするケイトリン。
ケイトリン「こんなにも?」
カイル「足りないならもっと出してもいい。本当に困っているんだ」
ケイトリン「一体何を運ぶんです?」
カイル「荷物は、バンクーバー市内の倉庫に置いてあるんだ。うちのヘリがバッテリーの不良で
 動かなくなってしまって。我々も同乗したいんだが…」
  躊躇しているケイトリン。しかし、暫くして口を開ける。
ケイトリン「わかりました。準備しますから、ちょっとだけ待っててください」
  ケイトリン、事務所のブースのドアを開け、慌てて中に入って行く。
  無表情で立ち竦む二人。

○ エドモンド家邸宅・敷地内
  駆け足で門を潜るホークとドミニク。
  玄関のドアに突っ込んだ状態で止まっているワゴンの後ろに立ち止まる。
  ワゴンの中を覗くホーク。
  フロントガラスに穴が空いているが、車内は、整然としている。
ドミニク「全く人の気配を感じんのだが。ここは、お化け屋敷か?」
ホーク「俺は、上を調べる」
ドミニク「じゃあ、わしは、下でキッチンを見つけて、腹ごしらえでもするか」
  笑みを零すホーク。
ホーク「食い逃げ犯になりたいのか?」
  ホーク、ジャケットの上着のポケットからシルバーのベレッタ銃を出す。ドミニクも同じく銃を持つ。
  車と壁の隙間をゆっくりと通り抜け、建物の中に侵入する二人。

○ 同・2F・リビング
  ソファに座るエドモンド夫婦。不安げな表情。
  窓の前に立つショウル。外の様子を覗いている。
ジル「金なら地下の金庫に隠してある。キーと暗証ナンバーを教えるから、好きなだけ
 持ってとっとと出て行ってくれ」
  二人に顔を向けるショウル。
ショウル「強盗するなら、こんな片田舎じゃなくて、町のどでかい銀行でも狙うさ」
ジル「じゃあ、なんでこんな事をする?」
ショウル「もう少ししたら、警察が気づいて、マスコミ連中を引き連れてやってくるはずだ。
 それまで、つきあってもらう」

○ 同・通路
  銃を下に向けながら、静かに階段を駆け上がってくるホーク。
  手前に見える扉の前に立つ。ドアノブを静かに回し、扉を少し開け、中を覗く。
  中は、ベッドルーム。人影は、見当たらない。
  ホーク、扉を閉め、向かい側の部屋の扉の前に忍び寄る。
  少し扉を開け、中を覗く。
  狭い隙間からリビングの様子が見える。
  エドモンド夫婦の前に立ち、銃を向けているショウルの姿を確認するホーク。

○ 同・1F
  静かに階段を下りてくるホーク。通路にドミニクが待ち構えている。
  小声でホークに話しかけるドミニク。
ドミニク「下には、誰もいなかった。そっちは、どうだ?」
ホーク「リビングで人質になっている夫婦がいる。たぶん、ここの住人だ」
ドミニク「犯人は、何人いた?」
ホーク「リビングにいたのは、一人だけだ」
  上のほうから激しい銃声が鳴り、女の悲鳴が上がる。
  ホーク、階段を駆け上がろうとするが、ドミニクが腕を掴み、静止する。
ドミニク「どうする気だ?」
ホーク「もう一度様子を見てくる。おまえは、エアーウルフに戻って、警察に連絡してくれ」
  ホーク、険しい表情を浮かべ、階段を上り始める。
  憂いの表情のドミニク。急いで、表に出て行く。

○ 同・リビング
  怯えるマリー。
  天井に波線を描くように銃弾の穴が空き、シャンデリアが床に落ち、粉々になっている。
ショウル「勝手に動くなと言ったはずだ。今度余計な真似したら、わかってるな?」
ビル「妻を離してやってくれんか。心筋症を抱えているんだ。人質は、私一人で十分だろ?」
ショウル「俺だってできればあんたらを傷つけたくない。だから俺の言う事にしっかり従え」
  ショウル、部屋の入口のほうを見つめる。扉が小さく開いているのに気づき、
  銃を構えながら近づいて行く。

○ 同・通路
  リビングから出てくるショウル。
  歩き出し、向かい側のベッドルームの扉を勢い良く開け、中を確認する。
  人影はない。
  ショウル、通路の突き当たりに向かって歩き出す。

○ 同・ベッドルーム
  ベッドの下に寝そべっているホーク。
  横に転がり、そこから出る。

○ サンティーニ航空・倉庫・表
  緑のラインが入った白いジェットレンジャーがメインローターを勢い良く回転させている。

○ ジェットレンジャー・コクピット
  後部席に乗り込むカイルとソルディナ。
  操縦席に座っているケイトリン。帽子にサングラス、藍色のジャンパー、ジーンズ姿。
  ヘッドホンをつけている。後部席の様子を見守っている。
  シートに座る二人。

○ 浮かび上がるジェットレンジャー
  ゆっくりと高度を上げ、機体の方向を右に回転させている。
  
○ 町の上空
  倉庫街や住宅地が密集する地上の空を勢い良く飛行しているジェットレンジャー。

○ ジェットレンジャー・コクピット
  操縦するケイトリン。
  後部座席に静かに座っている二人。
  ツンとしているソルディナ。
ケイトリン「向こうには、いつまで滞在するの?」
カイル「期間は、決まってない。どうして?」
ケイトリン「うちの倉庫に車を止めたままじゃない。当然、戻って来るんでしょ?」
カイル「戻るつもりはない」
ケイトリン「じゃあ、車は、どうするの?」
カイル「暫く預かってもらえないか。いずれまた、取りに行く」
ケイトリン「別にいいけど…お二人、新婚さん?」
カイル「こいつは、私の妹だ」
ケイトリン「ねぇ、もしかして、気分悪い?さっきからずっと黙りっぱなしだけど…」
カイル「ヘリに乗るの初めてだから緊張しているんだ」
  ソルディナ、寡黙に俯いている。
ケイトリン「そうだったの。ごめんなさい。余計な事聞いちゃって」
カイル「気にする事はない。バンクーバーには、あとどれぐらいで到着するんだ?」
ケイトリン「そうね。このスピードで進んだら、15分くらいかしら」
  カイル、サングラスをはずし、窓外に見える景色を見つめている。

○ 田園地帯・道路
  消防車が止まり、消防士がトラックの後ろで炎上している乗用車に水を浴びせている。
  その様子を窺っている若い警官ミック。長身、細身で金髪。
  暫くして、一台のパトカーがやってくる。
  立ち止まるパトカー。中から中年の警官ケインズ・ホーデンが降りてくる。短髪、中年太りしている。
ケインズ「運転手は?」
ミック「トラックの方は、逃げ出して、無事でしたけど、乗用車のほうは、まだ車の中に…」
ケインズ「酔いつぶれか、居眠りか?」
ミック「トラックの運転手の話しによると、後ろを走っていたベージュのワゴンが突然、車線をはみ出して
 トラックを追い越そうとしたそうです。ちょうどその時、反対方向から乗用車がやってきて、ワゴンが
 それを避けようとして強引にトラックの前に割り込み、トラックが急ブレーキを踏んで、後ろを走ってた
 車が追突、炎上したそうです」
ケインズ「対向車は?」
ミック「向こうの畑に転がってます。運転手は、さっき救急車で運ばれました」
ケインズ「そのワゴンは、どっちへ逃走したんだ?」
ミック「東の方角です」
  怪訝な表情を浮かべるケインズ。
ケインズ「もうすぐ応援のパトカーが到着するはずだ。私は、ちょっと確認することがあるから後は、任せたぞ」
ミック「確認ってどこへ?」
ケインズ「エドモンドの自宅だ。さっき通報があった。後でまた連絡する」
  ケインズ、パトカーに乗り込み、走り去って行く。

○ エドモンド家邸宅・2Fリビング
  ソファの上で横になっているマリー。
  マリーのそばに座り、介抱している。
マリー「あなた、今何時?」
ジル「11時25分だよ」
マリー「ランディに連絡しないと…」
ジル「この部屋の電話は、潰れて使い物にならないな」
  ジル、辺りを見回している。
ジル「あいつは、まだ戻ってこないみたいだ」
マリー「下手に動いちゃ駄目よ。もし見つかったら何をされるか…」
ジル「しかし、ランディ達をここに近づけるわけには、いかん…」
  外で車のブレーキ音が鳴り響く。
  ジル、立ち上がり、窓の前へ行き、外の様子を窺う。
  門の前に止まっているパトカー。車からケインズが降りている。
  振り返り、マリーを見つめるジル。
ジル「警察だ。ケインズが来てくれたぞ」
マリー「本当に?」
ジル「ああ。これでもう安心だ」
  突然、下のほうから大きな銃声が鳴り響く。
  ジル、慌てて、また外の様子を確認する。

○ 同・門前
  地面にいくつもの銃弾がはじく。
  パトカーの車体に蜂の巣のように当たる弾丸。前輪のタイヤがパンクする。
  車の陰に屈んで身を隠すケインズ。
  ホルダーから銃を抜き、シリンダーを開け、弾を確認している。
  銃声が鳴り止む。
  ケインズ、恐る恐る顔を出し、邸宅の玄関の様子を窺っている。
  ケインズ、助手席の扉を開け、レシーバーを持ち、話し出す。
ケインズ「こちら3号車…至急応援を頼む。何者かが銃を持って立てこもっている模様。場所は…」

○ 同・玄関
  突っ込んでいるワゴンの前に立ち、表の様子を見ているショウル。
  ショウルの背後にゆっくりと迫る男の影。
  両手で銃を構え、ショウルに近づくホーク。
  ホークの気配を感じ取り、微動だにしないショウル。
ホーク「銃を捨てて、両手を頭に乗せろ」
  ショウル、微動だにしない。
ホーク「聞こえないのか?」
  ショウル、ウージー銃から手を離し足元に落とす。両手を後頭部に乗せる。
  ホーク、ショウルのそばに寄り、ウージー銃を蹴飛ばす。ショウルの背中に銃口を突きつけたまま、
  もう一つの手でショウルの身体をまさぐり始める。
ショウル「武器は、さっきの銃だけだ」
  ホーク、ショウルのズボンのポケットから財布を抜き取り、中を確認する。束ほどの1万ドル札が入っている。
  免許証を見つけ、目を通す。
ホーク「ショウル・バクスター…この分厚い財布を見る限り、金が目的じゃないみたいだな。職業は?」
ショウル「…電気技師だ」
ホーク「よし、ゆっくりとこっちを向け」
  ショウル、踵を返し、ホークと顔を合わす。
ショウル「俺を見逃してくれ…」
ホーク「話があるなら、警察でじっくり聞いてもらえ」
  表の方から男の声がする。
男の声「よし、二人とも動くな」
  ホーク、ショウル、声の方に顔を向ける。
  玄関の前に立ち、両手で銃を構えているケインズ。
ケインズ「両手を頭につけて後ろを向け」
  二人、ケインズに背中を向け、両手を後頭部に置く。
  ケインズ、銃を向けたまま、ゆっくりと歩き出し、ワゴンと家の壁の隙間を通り抜けている。
  ケインズ、割れたガラスの破片を踏み外し、よろける。
  ショウル、その隙にホークの上着のポケットに手を入れ、銃を奪い取る。
  ホークを引き寄せ、喉元に銃口を突きつけるショウル。
  立ち止まるケインズ。
ショウル「ありがとよ、ポリ公さんよ。あんたのおかげで邪魔者を排除できそうだ」
ケインズ「お前達、仲間じゃなかったのか?」
ショウル「さっき顔を合わしたばかりだ。さぁ、早く銃を捨てろ」
  ケインズ、ため息をつき、銃を投げ捨てる。
ショウル「自分の手首に手錠をかけて、ハンドルの穴にもう片方を通せ」
  ケインズ、しぶしぶ手錠を取り出し、自分の右手首に手錠をはめている。
ショウル「(ホークに)よし、もう片方は、おまえがはめるんだ。行け」
  ホークの背中を押すショウル。
  ホーク、ショウルを睨みつけながら前に進む。
  ケインズのそばに近寄るホーク。車の中に腕を入れ、もう片方の手錠を自分の手首にはめる。
   ケインズとホークの腕が手錠でハンドルに引っ掛かった状態になる。
ショウル「鍵をこっちに投げろ」
  ケインズ、ズボンのポケットから手錠の鍵を出し、ショウルのほうに投げる。
  鍵をキャッチするショウル。
  ショウル、踵を返し、階段を駆け上がって行く。
  呆然と立ち竦むホークとケインズ。
―ACT1 END―

―ACT2―
○ ワシントン州・上空
  青々とした山岳が連なる。その上空を勢い良く飛行しているジェットレンジャー。
  空が黒い雲に包まれ、雷鳴が轟き始める。

○ ジェットレンジャー・コクピット
  ヘリのフロントのガラスにぽたぽたと雫が落ちてくる。
ケイトリン「随分風が強くなってきたわ。変ね。天気予報では、嵐が来るなんて一言も言ってなかったのに」
  カイル、足元に置いていたアルミケースを膝に乗せ、ケースを開ける。
  ケースの中には、何かの遠隔操縦装置が組み込まれて、ディスプレイ画面とキーボード、および
  コントロールレバーが備え付けられている。
  カイル、赤いボタンを押し、電源を入れる。
  機械が起動し、ディスプレイにプログラム言語が表示され、縦スクロールで素早く流れて行く。
  キーボードを早打ちするカイル。その様子を見守るソルディナ。
  雨がますます激しくなり、視界が悪くなる。
  ケイトリン、緊張の面持ちでレバーを握っている。
  カイル、キーボードを打ちながらケイトリンに話しかける。
カイル「雨の中のフライト経験は、あるんだろ?」
ケイトリン「もちろん。でも、前の職場では、ガンガン飛ばしてたんだけど、今の仕事に就いてからは、
 あんまりなのよね…」
カイル「前の仕事って、何を?」
ケイトリン「テキサスでハイウェイパトロールの仕事をしていたの」
  カイル、キーボードを打つ指を止め、凍りついた目つきで操縦席を見つめる。
  ソルディナも無言でケイトリンを見ている。
ケイトリン「ああさっき言った事は気にしないで。大丈夫。もう昔の感覚を取り戻したから」
  装置の電子音が鳴り響く。
  カイル、ディスプレイを見つめる。地図のイメージ。四角い囲み線が表示され、ある地点をマークしている。
  にやりとするカイル。
カイル「すまないが少し方向を変えてもらえないか?」
ケイトリン「どうして?バンクーバーには、あと五分で着くけど…」
カイル「ちょっと探し物があってね」
  ソルディナ、膝元においていた白いカバンの中から、短銃をそっと取り出し、ケイトリンに銃口を向ける。
  ケイトリン、振り返り二人の様子を窺う。銃に気づき、唖然とする。

○ 草原地帯
  立ち止まるエアーウルフ。

○ エアーウルフ・コクピット
  操縦席に座っているドミニク。
  腕時計を見つめ、心配そうに顔を歪める。
ドミニク「ホークの奴、何してやがる…」
  ドミニク、扉を開け、外に出る。

○ 草原地帯
  エアーウルフから降りるドミニク。
  扉を閉め、道を駆け始める。

○ エドモンド家邸宅・玄関
  ワゴンの運転席のドアの前に立つホークとケインズ。
ケインズ「あいつ、一体何者なんだ?」
ホーク「電気技師だと言ってた」
ケインズ「君は?」
ホーク「ただの通りすがりだ」
ケインズ「ただの通りすがりには、とても見えんが…」
ホーク「2Fのリビングで夫婦が人質に取られている。婆さんのほうは、体調が芳しくないみたいだった」
ケインズ「マリーか。心筋症を患っているんだ」
ホーク「知ってるのか?」
ケインズ「若い頃からこの辺りを巡回していたからな。顔馴染みさ。安心しろ。すでに応援要請を出している」
ホーク「ここから警察署は、何キロあるんだ?」
ケインズ「5キロほどだ」
ホーク「それにしては、やけに時間がかかるな」
ケインズ「俺が嘘をついてるとでも言いたいのか?」
ホーク「いいや」
  ケインズ、ワゴンをまじまじと見つめ、
ケインズ「どうやら、さっきの交通事故の犯人は、この車のようだな」
  ケインズ、車の扉を拳で殴る。
ホーク「運転手は、無事だったのか?」
ケインズ「トラックにぶつかった車は、炎上していた。おそらく、助からんだろう」
  険しい表情を浮かべるホーク。
  車のブレーキ音が鳴り響く。
  門のほうを見つめるホークとケインズ。
  ケインズのパトカーの隣にもう一台のパトカーが止まる。パトカーの運転席から降りるミック。
  ケインズのパトカーの前に近づき、怪訝な表情で車体に空いた穴を見つめている。
ケインズ「ミック…」
ホーク「あれが応援か?」
ケインズ「違う…俺の部下だ。どうしてあいつが…」

○ 同・門前
  ミック、玄関の方を見つめ、唖然とする。ケインズがいる事に気づく。
ミック「ケインズさん!」
  ミック、門を潜り、玄関に向かって歩き出す。
  ケインズ、大声を上げ、
ケインズ「来るなミック!立てこもり犯が狙ってるぞ!」
  その瞬間、激しい銃声が鳴り響く。ミックの足元ではじける弾丸。
  ミック、仰け反り転がり、慌てて、パトカーの方へ逃げ戻る。
  2Fの窓。ショウルの姿が見える。マシンガンを構えている

○ 同・玄関
ホーク「優秀な部下だな」
ケインズ「おかしいな。さっき連絡したはずなのに…」
  ミックに向かって声を張り上げるケインズ。
ケインズ「応援は、どうした?」
  パトカーの向こうからミックの声が聞こえる。
ミックの声「町で囚人を乗せた護送車が横転事故を起こして、かなりの人数の囚人が逃げ出したそうです。
 そっちの事件で皆出払ってしまって…」
  ため息をつくケインズ
ケインズ「なんてこった…」

○ 同・2F
  ショウル、大声を出して、ミックに話しかける。
ショウル「おい!その話は、本当か?」
  ミックの声が小さく聞こえる。
ミックの声「ああ、本当だ」
ショウル「クソ!」
ジル「もう限界だ。妻を…こいつだけでも外に出してやってくれ」
ショウル、憔悴しているマリーの顔をまじまじと見つめ、動揺した面持ち。

○ ワシントン州・山岳地帯
  激しく振る雨。
  小さな岩山に囲まれた小さな丘の上に着地するジェットレンジャー。

○ ジェットレンジャー・コクピット
  ケイトリンに銃を向けているソルディナ。
  カイル、アルミケースを閉める。
カイル「よし、先に降りろ」
  ケイトリン、ヘッドホンをはずし、扉を開ける。

○ 山岳地帯
  外に降りるケイトリン。
  後部席から降りるカイルとソルディナ。
  ケイトリンに銃を向けるソルディナ。
カイル「一緒についてきてもらおう」
  歩き出すカイル。
  カイルの後ろを歩き始めるケイトリン。ケイトリンの背中に銃口を向けながら歩くソルディナ。

○ 洞窟内
  暗く狭い通路を歩いている三人。
  奥の広い空間に入り、立ち止まる。
  カイル、岩の壁に設置されている配電盤の扉を開け、スイッチを入れる。
  広い空間の周りに備え付けられた照明が一斉に灯り、白い光を照らす。
  長い翼を縦に折り畳んで止まっている全長8mの銀のステルス製無人攻撃機
   『サンダー・レイ』が姿を現す。
  ケイトリン、サンダーレイを見つめ、唖然とする。
ケイトリン「何なの?これ…」
カイル「最新型の無人攻撃機だ」
  カイル、アルミケースを足元に置く。屈んで、ケースを開け、電源を入れる。
  サンダーレイのエンジンが低い音をうならし始める。
  カイル、コントロールレバーをつまみ、上へ押す。
  ゆっくりと前進する無人偵察機。

○ 山岳地帯
  洞窟からゆっくりと前進して表に出てくるサンダーレイ。
  折り畳まれていた両方の翼が自動的に下におりて、横に長く伸びる。
  サンダーレイの後に続くようにケイトリンとカイル達が歩いている。
ケイトリン「荷物ってこれの事だったのね」
カイル「そうとも。さぁ、早くヘリに戻れ」
  ケイトリン、渋々ヘリの方に向かって歩き出す。
    ×  ×  ×
  平地を走行するサンダーレイ。ゆっくりと機体を浮き上がらせ、空に浮かぶ。
  高度を上げ、空の彼方に消えて行く。
  激しく鳴り響くローター音。
  ケイトリン達が乗ったジェットレンジャーが高度を上げ、ゆっくりと飛び去って行く。

○ エドモンド家邸宅・玄関
  ワゴンの前に立つホークとケインズ。
  辺りを見回す二人。
ケインズ「駄目だ。手錠の鎖を切断できるような物なんて、そんな簡単にに見つかるはずがない」
  ホーク、ワゴンの後部席のシートに置かれている黒いスーツケースを見ている。
  ケインズ、ワゴンの助手席の前にあるグローブボックスをまじまじと見つめる。
ケインズ「あの中を探そう」
ホーク「こんな体勢でどうやって車の中に入るんだ?」
ケインズ「俺が窓を潜る」
ホーク「そんなことされたら、俺の腕が圧迫されて使い物にならなくなる」
ケインズ「そりゃあ、どう言う意味で言ってるんだ?」
  ホーク、ケインズの腹を見つめ、
ホーク「その出っ張った腹を格納できるなら話は別だが。俺に任せろ」
  ため息をつくケインズ。
ケインズ「もし何も見つからなかったら、覚えてろよ」
  ホーク、窓枠に頭を突っ込み、中に入り込もうとする。ホークの体がケインズの腕を締め付ける。
  痛みに耐え、声を押し殺しているケインズ。
  その時、後ろで男の声が聞こえる。
男の声「おい、何やってるんだ?」
  振り返るケインズ。
  通路の影に隠れているドミニク。
  ホーク、慌てて、車から頭を出し、ドミニクを見つめる。
ホーク「ドミニク…」
ケインズ「誰だ?」
ホーク「俺の仲間だ。どこから入ってきた?」
ドミニク「裏の壁をよじ登ってきた。帰りが遅いからわざわざ様子を見に来てやったが…おまわりさんと
 仲良くお手てつないじゃってまぁ…」
ホーク「冗談言ってないで何とかしろ」
ドミニク「何とかしろったって…エアーウルフのチェーンガンでハンドルを吹き飛ばすか?」
ケインズ「表に俺の部下がいる。俺のパトカーのグローブボックスに手錠のキーが入っている。
 それを取ってきてくれないか?」
ドミニク「通報してから、何十分も経ってるのに、仲間は、一体何をやってるんだ?」
ケインズ「通報したのは、あんただったのか」
ホーク「文句は、後だドミニク」
ドミニク「はいよ、(ケインズを指差し)あんた、名前は?」
ケインズ「ケインズだ」
ドミニク「ケインズね…」
  ドミニク、二人のそばを離れ、通路を歩き去って行く。 
  ホークと顔を合わすケインズ。
ケインズ「『エアーウルフ』って何だ?」
ホーク「…飼い犬の名前なんじゃないか?」
  階段を下りてくるショウル。ホーク達の前に立つ。
  ショウル、右手で銃を向け、もう片方の手で手錠のキーを投げる。
  ケインズの足元に落ちるキー。
ショウル「(ケインズに)手錠をはずして、一緒について来い」
  ケインズ、寡黙にキーを拾い上げる。
ショウル「外した手錠は、しっかりハンドルにつないどけよ」
  ケインズ、自分の手首についた手錠を外し、それをハンドルにはめる。
ケインズ「(ホークに)すまんな。後で必ず…」
  ケインズ、ホークのそばから離れる。ショウル、ケインズの背中に銃を向けながら、
  一緒に階段を上り始める。

○ 同・2Fリビング
  中に入ってくるケインズ、その後ろを歩くショウル。
  ソファの前に行く二人。
  ジル、ケインズを見つめ、
ジル「マリー、ケインズさんが来てくれた、もう安心だ」
  マリーの様子を見つめるケインズ。マリー、顔面蒼白で衰弱している。
ケインズ「かなり具合が悪そうだ」
ショウル「ばあさんを病院に運んでやれ」
  唖然とするケインズとジル。
ショウル「但し、条件がある。今すぐテレビ局の連中を呼んで来い。1時間以内にだ。
 それができなかった場合は、爺さんの命はない」
ケインズ「わかった。エドモンドさん、マリーの事は、私に任せてください」
ジル「息子のランディがもうすぐこっちにやって来るんだ。見つけて引き止めてくれないか?」
ケインズ「ええ、何とかします」
  ケインズ、マリーを背負い、ゆっくりと歩き出す。
  二人を見守るジル。

○ 同・門前
  パトカーの陰に身を隠し、建物の様子を見つめているミック。
  突然、男の声がする。
男の声「おい!」
  ミック、慌てて、声の方に銃口を向ける。
  両手を挙げるドミニク。
ドミニク「待てよ、一般市民を殺す気か?」
  ミック、銃を下ろし、
ミック「今立て込んでるんだ。邪魔すると、公務執行妨害で捕まえるぞ」
  ドミニク、前屈みになりながら、ミックのそばにやってくる。屈んだ姿勢で話し出す。
ドミニク「ケインズに頼まれて来てやったんだぞ。手錠のキーは、どこにある?」
ミック「ケインズさんに頼まれてだって?」
ドミニク「そうとも」
ミック「あんた、この家の住人か?」
ドミニク「そんな風に見えるか?」
ミック「じゃあ、どうやって抜け出してきた?」
ドミニク「秘密のルートを使ったのさ」
ミック「それ、どこにあるんだよ?」
  その時、玄関の方からケインズの声が聞こえる。
ケインズの声「ミック!」
  ケインズを見つめる二人。
  ケインズ、マリーを背負いながら、こっちに向かって歩いてくる。
  2Fのリビングの窓から様子を窺っているショウル。
  ミック達の前にやってくるケインズ。
  唖然としているミックとドミニク。
ミック「これは、いったいどう言う事なんです?」
 ミックのパトカーの前に立ち、後部席のドアを開け、マリーを乗せる。
ケインズ「おまえ、この人を病院まで運べ。それと、テレビ局にこの家を中継するよう連絡してくれ」
ミック「そんなことしてどうするんです?」
ケインズ「犯人の要求だ。それができなければ、人質が殺される。急げ」
  ミック、パトカーに乗り込み、走り去って行く。
  ケインズと対峙するドミニク。
ドミニク「ホークは?」
ケインズ「ホーク?…ああ、あの男ならまだ捕まったままだ」
ドミニク「犯人の素性は、わかったのか?」
ケインズ「あんたの仲間から、電気技師だと聞いた」
ドミニク「…」
ケインズ「いくら人里離れた田舎町だからって、署の奴らが誰一人応援に来ないなんて…どうかしてる」
ドミニク「テレビ中継が必要だと言ったな?」
ケインズ「ああ、そうだが…」
ドミニク「わしに考えがある…」
―ACT2 END―

―ACT3―
○ 高度6000m上空を不気味に飛行するサンダーレイ。

○ ワシントン州沿い・海岸
  曇り空の下。砂浜の上空を飛行しているジェットレンジャー。
  旋回して、ゆっくりと高度を落とし、砂浜の上に着地する。

○ ジェットレンジャー・コクピット
  操縦席に座るケイトリン。後部席に座るカイルとソルディナ。
  カイル、アルミケースの遠隔操縦装置のディスプレイを見つめている。
  ケイトリンに銃を向けているソルディナ。
  ソルディナ、銃をカイルに手渡し、ヘリから降りる。砂浜を駆け、その向こうの建物に向かっている。
ケイトリン「いつまで飛び続ける気?」
カイル「後もう少しだ」
ケイトリン「帰りの燃料がなくなっちゃうわ。どこかで補給しないと…」
カイル「そんな心配をする必要はない」
ケイトリン「どうして?」
カイル「ソルディナが戻ってきたら、悪いが君には、地獄に行ってもらう」
ケイトリン「誰がこのヘリを操縦するの?」
カイル「私だ」
  ほくそ笑むカイル。
ケイトリン「あなた達、国防省の関係者なの?」
カイル「最後に教えといてやろう。我々は、『サイファージェネレーション』と呼ばれる地下ネットワークの
 メンバーだ。そのネットワークは、東側にも通じていて、常に情報を交換している」
ケイトリン「そのネットワークを使って、あの飛行機を奪い取ったの?」
カイル「奪い取ったのではない。設計図を入手して、技術者を集めて、一から開発したんだ」
  窓を見つめるカイル。ソルディナがこっちに向かって歩いてくるのが見える。
カイル「そろそろ時間だ。人生の締めくくりに残しておきたい言葉があるなら聞いておくが?」
ケイトリン「あるわ。私は、天国に行くから、あなた達は、地獄に落ちなさい」
  失笑するカイル。
カイル「それだけか?」
  扉が開き、ソルディナが後部席に乗り込んでくる。
ソルディナ「グローバーと連絡が取れなかった」
カイル「何?」
ソルディナ「何かトラブルがあったみたい。タコマのホテルにまだ着いていないわ。1時に約束したのに…」
カイル「おまえは、ここに残ってネルソンが到着するのを待て。俺は、グローバーを迎いに行って来る」
ソルディナ「わかったわ」
  ヘリから降りるソルディナ。

○ 離陸するジェットレンジャー
  高度を上げ、海の方角に向かって飛び去って行く。
  舞い上がる砂を避けるように顔前に手をかざしながら、様子を見守るソルディナ。

○ ジェットレンジャー・コクピット
  操縦するケイトリン。
  ケイトリンに銃を向けながら、操縦装置の画面をチェックしているカイル。
カイル「命拾いしたな」
ケイトリン「どうせ、タコマまでの命なんでしょ?」
カイル「まだ数十分この世の空気を吸えるだけありがたいと思え」
  ケイトリン、咄嗟にヘッドホンを外し、扉を開ける。
  驚愕するカイル。
カイル「おい、よせ!」
ケイトリン「どうせ死ぬなら、この方がマシよ!」

○ 高度80mの上空を飛ぶヘリから身を投げるケイトリン
  勢い良く海に落ち、姿を消す。
  バランスを崩し、蛇行しているジェットレンジャー。

○ ジェットレンジャー・コクピット
  操縦席に移り、レバーを握るカイル。必死の形相。
  急速に高度を落とし、海へ落ちて行くヘリ。
  カイル、レバーを引き、機首を上げている。

○ 海面30m上空から急上昇するジェットレンジャー

○ ジェットレンジャー・コクピット
  安堵の表情を浮かべるカイル。
カイル「馬鹿な女だ…」

○ 海上
  海から顔を出すケイトリン。
  岸に向かってゆっくりと泳ぎ始める。

○ 海岸沿い・道路
  道路脇に立ち、煙草を吸うソルディナ。
  暫くして、目の前にワインレッドの4WDがやってくる。
  手を振るソルディナ。ソルディナの前で立ち止まる4WD。
  運転席から降りる恰幅の良い男・ダイク・ネルソン。
  ソルディナと顔を合わす。
ダイク「カイルは?」
ソルディナ「グローバーを迎いに行ったわ」
  遠くから聞こえてくるヘリのローター音を耳にし、海の方に振り向く二人。
  ジェットレンジャーがソルディナ達の元に迫ってくる。
  呆然とする二人。
  二人の前にゆっくりと着地するヘリ。

○ ジェットレンジャー・コクピット
  助手席の扉が開く。ソルディナが中を覗く。
  操縦席にいるカイルを見つめ、
ソルディナ「あの女は、どうしたの?」
カイル「海に飛び込んだ。早く乗れ」

○ 草原地帯
  立ち止まるエアーウルフ。メインローターとテールローターがゆっくりと回転し始める。

○ エアーウルフ・コクピット
  操縦席に座るドミニク。ヘルメットを被っている。計器盤のボタンを押し、チェックをしている。
  通信の電子アラームが鳴り響く。
  内部にあるスピーカーからアークエンジェルの声が聞こえる。
アークエンジェルの声「おい、返事しろ、ホーク」
ドミニク「そんながなり声あげなくたってちゃんと聞こえてるぞ」
アークエンジェルの声「なんだ、おまえか」
ドミニク「なんだとはなんだ?」

○ CIA本部・部長室
  窓の前に立ち、コードレス電話の受話器を持ち、話しているアークエンジェル。
  白いスーツを着て、右側のレンズを黒くした眼鏡をかけている。
アークエンジェルの声「15分も前からずっと呼び出しをかけていたんだぞ。一体どこをほっつき
 歩いていたんだ?」
ドミニク「悪いが今お前さんとのんきに駄弁っている暇は、ないんだ」
アークエンジェルの声「至急、君達にやってもらわなければならない事がある。三日前、国防省の
 DARPA計画の一環として開発が進められていた無人攻撃機サンダーレイの実験機の情報が
 漏洩していた事が判明した」
ドミニク「サンダーレイ?」
アークエンジェルの声「情報は、半年前に盗まれ、その情報を元にもう一機のサンダーレイがすでに
 完成しているそうだ。開発を請け負う航空会社の幹部が犯人側と、今日の昼までサンダーレイを
 取り戻すための交渉を続けていたが、残念ながら、話は決裂してしまった」
ドミニク「それで、わし達の出番ってわけか?」
アークエンジェルの声「サンダーレイには、対レーダー用ミサイルと赤外線誘導のサイドワインダーが
 一基ずつ搭載されている。狙いは、わからんが何かをしでかす前に見つけ出さねばならん」
  困惑するドミニク。
ドミニク「ちょっとだけ時間をくれ。片付いたら、連絡する」
アークエンジェルの声「どういう事だ?おい、ドミニク…」
  ボタンを押し、回線を切るドミニク。
  操縦レバーを握る。

○ 離陸するエアーウルフ。
  前一つと後ろ二つの着陸装置のタイヤを機体の中に収納しながら、ゆっくりと高度を上げている。

○ エドモンド家・邸宅2Fリビング
  窓の前に立つショウル。外の様子を窺っている。
  ソファに座っているジル。
ジル「なぁ、もし良ければ、事情を話してくれんか?」
ショウル「あんたに話しても無駄だ」
ジル「一人で抱え込んでいても仕方がないだろ。私に話せば、少しは、気が解れるかもしれんぞ」
  振り返り、ジルを睨みつけるショウル。
ジル「この家はな、私達の老後のためにと息子が設計して建ててくれた大事な家だ…君に良心の
 欠片が残っているなら、こんなマネは、すぐにやめておとなしく…」
ショウル「これ以上、この家を破壊する気はない。目的を果たしたら、黙って出て行く」
  外で鳴り響くのヘリのローター音。どんどん音が大きくなり、迫っている。

○ 同・玄関
  ワゴンの前で突っ立っているホーク。ヘリのローター音を耳にし、外を見つめる。

○ 同・門前
  パトカーの前にいるケインズ。空を見上げる。
  西の方向からゆっくりと飛行してくるエアーウルフ。
  邸宅の前、高度30mの位置でホバリングしている。

○ 同・リビング2F
  窓の前に立ち、エアーウルフを見つめるショウル。外にいるケインズに大声で叫ぶ。
ショウル「何だ、あのヘリは?」
  ケインズの叫び声が響き渡る。
ケインズの声「お前の望み通り、テレビ局のヘリを呼んでやったぞ」
ショウル「あれがテレビ局のヘリだって?笑わせるな」
ケインズの声「最新型だ。中でテレビカメラが回っている。言いたい事があるなら、早く言え!」
  困惑しているショウル。
ショウル「駄目だ。ヘリを下ろして、カメラをこの部屋に入れろ!」

○ 同・門前
  動揺しているケインズ。ため息をつく。
ケインズ「だから言ったんだ…無茶だって…」

○ エアーウルフ・コクピット
  レバーを握るドミニク。
ドミニク「仕方ない。かくなる上は、ドライヤー作戦決行だ」
  
○ ゆっくりと高度を下げて行くエアーウルフ
  邸宅の前にどんどん近づいてく。
  低く唸るローター音。
  リビングの窓でウージー銃を構えながら、様子を窺うショウル。
  ショウルの前に接近するエアーウルフ。
  ローターから吹き出る強い風がショウルに当たる。
  ショウル、顔の前に手をかざし、風を避けている。
  ケインズ、その隙を狙って、パトカーのボンネットを乗り越え、玄関に向かって、猛ダッシュする。

○ 同・玄関
  ホークの前にやってくるケインズ。
ケインズ「悪かったな」
  ワゴンの窓枠に手を突っ込み、ホークの手錠の鍵を外す。
ホーク「行くぞ」
  頷くケインズ。
  二人、急いで階段を上り始める。

○ 同・2Fリビング
  ショウル、エアーウルフに向けて、ウージー銃を撃っている。
  窓の外に浮かぶエアーウルフ。機体に何発も弾丸が当たっているが火花を散らしながら
  跳ね返している。
  ショウル、ムキになり、さらに撃ち続ける。
  部屋に駆け込んでくるホークとケインズ。
  ホーク、ショウルの背中にタックルし、押し倒す。銃を落とし床に勢い良く倒れこむ二人。
  ショウル、ホークの顔を蹴り上げ、立ち上がり、さらに腹に一発蹴りを入れる。
  ホーク、ショウルの足を引っ張り倒し、立ち上がる。ショウルが立ち上がったところですかさず、
  腹に一発、さらに顔に一発拳で殴りつける。
  倒れるショウル。
  ケインズ、ジルの手首に巻かれているロープを解いている。
  ホーク、窓の外に見えるエアーウルフに手を振る。
ホーク「もういいぞ、ドミニク」

○ エアーウルフ・コクピット
  ホークの姿を確認し、ため息をつくドミニク。
ドミニク「ふー…やれやれ…」

○ エドモンド家・邸宅2Fリビング
  飛び去って行くエアーウルフ。
  ショウルの胸元を掴み、立ち上がらせるホーク。
ショウル「捕まえる前に話を聞いてくれ」
ホーク「言ってみろ」
ショウル「俺は、一週間前から会社の仲間とある山奥に監禁されていたんだ。今朝、
 なんとか脱出して、ここまで逃げてきたんだ」
ホーク「なぜ監禁されていたんだ?」
ショウル「エルセント工業とか言う民間の航空機の部品を扱う会社の空調設備の修理に行ったが、
 そこで思わぬ物を見てしまったんだ。その会社が作っていたのは、軍事用の航空機だった」
ホーク「仲間は、どうした?」
ショウル「俺達がその現場を覗いたのがばれて、一緒に監禁されたが今頃は…」
ケインズ「じゃあ、あのワゴンは、そこで盗んできたものなんだな?」
ショウル「ああ。奴らは、中南米の反政府組織と地下でネットワークを持っている。今日の昼過ぎに国内で
 大規模な活動を起こすと話していた…おそらくあの航空機を使う気だ」
ホーク「それを国民に知らせるためにここに立てこもったって言うのか」
ショウル「近くにテレビ局はないし、警察に言ったって誰も信じてくれないと思った。だからここで事件を起こして、
 警告するつもりだったが…もう時間がない」
  唖然とするホーク。
―ACT3 END―

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