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映画「どこまでも、行こう」
私が生まれ育った街は、愛知県の片隅の、海っぺりの田舎まち。
そんな何もない小さい土地が大嫌いで
東京の大学に合格した時に、やっとの思いで飛び出した。東京に出て来て、4年経って
あの田舎まちはすっかり変わってしまった。大好きだった小さなワンマン電車が通る路線がなくなった。
知らない道ができて、知らないお店が増えた。
実家に帰っても、もう自分の部屋で寝なくなった。本当にここが、私の故郷なのだろうか。
大好きだった路線は廃線になって、線路は途切れ、赤錆て草ぼうぼう。
看板の外されたプラットホームだけがポツンと存在していた。いつか、ここがなくなってしまう前に、ここが私の故郷だと思えるうちに
私は、この街で映画を撮りたいと思った。
いつも私の傍らには音楽があった。ユーフォニウムという、誰も知らないような楽器を抱えて
どこよりも長く、音楽室にいた。でも、大学2年のときに、私は音楽をやめてしまった。
後悔はしていないけど、あんなに、何もかも音楽が授けてくれたのに
私は音楽に申し訳ない気持ちで、今まで過ごして来た。音楽からもらったものを、今度は還元していこう。
そう思って、去年はピアノの出て来る映画を作った。
だから今度は、一番大好きな楽器で映画を作ることにした。
そのうちもっと遠くなってしまう、あの田舎まちを舞台に。誰もが、何かを置き去りにして、振り返れずにいる。
最後の自主制作。
私も、この映画で決断の一歩を踏み出そう。